パズルは謎じゃない

謎解き、謎解きイベント、体験型イベント、をメインにするつもりがありつつやっぱり他のことも書くことにしたよブログ。twitter:@puz_rar

謎の本質を追うことで見える「すべて」の話

■はじめに

この記事は体験型イベント Advent Calendar 2014 - Adventarの一貫です。


長らく続いた体験型アドベントカレンダーも今日で最後。
「書きたいと思ったら最終日だけが空いていた」ので、飛び込みました。

ここまで大体みなさん「体験型イベント」の話を主に書かれてきたようですが、
残念ながら私は「謎」だけにスポットを当てて話します。

とはいえ、最後には”すべて”の話をするのでご安心ください。

自己紹介は前の記事を参照されたし。
かんたんな自己紹介 - パズルは謎じゃない

 

 

■なんの話するの
さて、この記事では、本質的にはたった一つのシンプルなことについて書きます。
それは「謎とは意外性である」ということです。

この話を、外側から初めて少しづつ範囲を狭めて
中心に辿り着いたとき、”すべて”の話となるでしょう。
 

■謎とは意外性である
謎とはなんでしょう。
辞書では、「不可思議であること」「よくわからないこと」などと書かれています。
私は「謎とは意外性である」と定義しています。
より正確には、『謎とは、「情報」という括りの中の一部で、意外性を伴う部分』です。

例えばあなたが今読んでいるこの日本語。

特に頭を悩ませることもなく理解できているでしょう。

私はこれを「意外性が0の謎」と読んでいます。

ちょっと不思議な言い回しですが、例えるなら
「0秒の時間がかかる」とか「有料(価格は0円)」といった言い回しと
似たようなものだと考えてください。

ここで「だから”すべて”は謎だって言いたいんでしょ?」と
思った人は、謎をすっ飛ばすタイプの人です。
少し落ち着いてください。

0秒は時間がかからないし、0円は無料です。

つまり、意外性がゼロの謎は、謎ではありません。
これが、情報という括りの中で、意外性を伴わない部分です。

 

■意の島を想像してみよう

意外とはなんでしょうか。
それは「意の外」ということです。
ということは、「意の内」もあります。

「意」を島のようなものとして想像してください。
あなたはこの「難易度がゼロの謎」を、瞬時に理解できます。
これは、その情報が完全に「意の内」にあるからです。

ところが、次の情報はどうでしょう。

f:id:puzrar:20141226152914p:plain※12/26 15:30修正しました

恐らく、これはすぐには理解できないでしょう。
これを、「意の外にある」と定義しているわけです。
(今は無理に解こうとせずに読み進めてくださいね!)

 

■謎かどうかは絶対評価ではない

さて、次の情報はどうでしょう。

f:id:puzrar:20141226043952p:plain

恐らくこの記事を読んでいる人の多くは、こう思ったでしょう。
「あー、それね。はいはい」と。

そう思ったあなたにとって、これは果たして「謎」でしょうか?
見た瞬間、何をすればいいかわかり…いや、「知って」いて、
ただ作業をすればよい。

それは、あなたにとって謎ではありません。

ところが、「あーはいはい」と思わなかった人もいるはずです。
その人にとって、これは謎です。

私はこれを「埋立地」と呼んでいます。
意の島には、埋立地があるのです。
かつては浅瀬、もしかしたらもっと深い海だったかもしれない場所。
かつては「意の外」にあった場所。
それが、「意の内」になった、なってしまった。それが埋立地です。

さて、あえてここまで保留しておいた補足をしておきましょう。
既に述べた「あなたが今読んでいるこの日本語(は、難易度がゼロの謎である)」という部分。
当然、日本語を常用しない人にとっては、謎ですよね。

ここで起きていることは、本質的には全く同じことです。
言うなれば、この謎を知っていたあなたは新たな言語を身につけたとも言えます。
同じ謎を知っているたちとの間で、共通の表現で意味のある情報交換ができるのですから。

 

埋立地の真実

そろそろ勘の良い方は話の結末が見えた頃でしょうか。
先ほど「意の島の埋立地」を定義しました。
かつては意の外だった場所を埋め立てて意の内にした場所のこと。

そして、言語の話をしました。
その言語を使わない人にとっては、それは意の外であること。

では、あなた自身の「意の島」を想像してください。
海辺に立って、あたりを見渡しましょう。
きっと、たくさんの埋立地があるはずです。

何度も解いたあるある謎。
最近読んだお話の結末。
あなたの趣味の世界でしか通じない言葉。

じゃあ、その埋立地の内側は?

社会に出てわかった、人付き合いのルール。
中学生になって学んだ英語。
一人で出かけるようになって初めてわかった電車の乗り換え方。
服が後ろ前にならないように着るために、服を持つときの向き。

何度も歩いて踏み固めたけど、ここだって埋立地です。
じゃあ、さらにその内側は?

掛け算。
漢字。
ひらがな。

…もう、おわかりですね?

歩き方。
食べ方。
「パパ」、「ママ」。

この島は、全てが埋立地なんです。

 

■たどり着いた中心

「意の島」は、全てが埋立地でした。
最初から陸だったところなんてありません。
さあ、こうして私達は中心に辿り着きました。
いつかのあなたにとって、すべてが「意の外」だった。

つまり!

すべては謎なのです。少なくとも謎だったのです。
世界は謎で出来ている!
そう、あらゆる全てが謎なのよ!

これが、この記事で言いたかった、たったひとつのシンプルなことです。

※哲学に詳しい人は「アプリオリな知識だけは埋立地じゃない!」とか言い出しそうですが
我慢してください。気になる人は調べましょう。空間と因果律とか。

 

 

■補足(蛇足かもしれない)

本当はここで記事を締めると綺麗なのですが、書きながらふと気づいてしまったことがありました。
「それ、『意外』じゃなくて『未知』じゃねーか」と。
少々その言い訳をしましょう。

『未知』は『意外』という集合の一部です。
つまり、全ての『未知』は『意外』でもあります。
だから何も問題なし!…だけだとつまらないですね。

実はここまで「謎」と表現したところは、我々謎好きの文脈で言う「謎」に加えて、
一般的な「謎」も含めていました。それを踏まえて。

また意の島を想像しましょう。
海辺には砂浜があり、沖に行くにつれて深くなります。
そして、どこかで「浅瀬」と呼べる深さ(日本人の平均身長くらいを言うそうです)を超えます。

ここが「知の境目」です。ここから外は「未知の世界」としましょう。

なぜこんな定義をするかというと、こうすることで「我々の文脈で言う謎」が
定義できるからです。

すなわち、謎とは「意外かつ未知でないもの」です。
浅瀬だけが、謎に許されたユートピアなのです。

もっとも世の中には、完全に海に浮いてる謎もたくさんあります。
しかし、本当にただ海に浮いてるだけのものは、基本的には解いてもらえません。
そこで出てくるのが「ヒント」。ヒントを、島の中や浅瀬に置くのです。
そこには、「だいたいこっちのほうの海にあるから船を出してね!」と書いてあればいい。

例えば、【▲日付は割り算だ。この企画全体を思いだせ】とか。

50個の音をすべて並べてみろ】とか。

まぁ、これ以上は「良い謎の作り方」といった別の話にしたほうが良さそうです。

 

■体験型についても少し触れるよ
人間、新しいことはだいたい楽しいんだろうなと思ってます。
小さな子供が走り回るだけで楽しいのは、走るのが新しいことだからでしょう。

ここにも「意の島」に近い考え方が適用できるんじゃないかなーと思ってます。
小さな子どもにとって、走ることは海か浅瀬にあるんでしょう。

「反復して経験した」ことは、島にあって。
「非日常」なことは、浅瀬にあって。
「未体験」なことは、海にある。

そういうことなんじゃないかな、と。
コンテンツは消費します。
僕らは毎日毎日、必死で埋め立てているんです。
海が多いほど、浅瀬が多いほど、楽しいことは多いのに。
それでも僕らは、埋め立てることをやめられない。
それこそが、楽しむということだから。

いやはや、長々と書き連ねてしまいましたね。読んで頂きありがとうございました。

 

◆さいごに
何を書こうか迷いました。今年1年を振り返って総括とかも良かったんですが、

まぁこれはこれで究極の問題の答えの一つが見えた気がします。これ以上掘り下げると、
ある意味でパンドラの箱です。開いてしまったら、災厄が溢れだすかもしれません。
しかし、参加者側でリアルで脱出ゲームするのだなんて気持ちを初めて持ったものだいぶ昔の話。
いまではたいてい忙殺されてますし、何故かストーリーだけ思いついてしまったり。
少し詳細を考えても、そのストーリーを使って他の体験型イベントでもいけそうな気がしたり。
はやく内容を固めて、さっさと公演情報が配信できるといいんですけどね。
しかし面白い企画でした。僕も、もっといろんな人のあんたの考えが知りたいと思いますし、考えを出したいと思います。
昔はブログを持ってたこともありますがね、検索するなよ!絶対にだよ!という気持ちです。
まさか将来自分がいわゆる謎解きクラスタがいう有名な方かもしれない何かになるとは思ってませんでしたからね。
恐れ多くてランニングで常に逃げ出したい気分です。
だからといって何がどうなるってわけではないんですけど。
ご理解とご協力のほう、できれば、よろしくお願いいたします。
さて、今後も謎作りを続けていこうと考えていくうえに、1つ決定的な足りないものがありました。
パズナゾにマスコットキャらクターが無いんですね。これは寂しい。
せっかく謎製作ではいろいろと機会に恵まれており、
まだおいしいたいやきとお茶を縁側でまったり頂くような生活は先の話なんです。
色んな謎の形があって、人間が“好み”は全ての人間において異なってしまうことはわかっていますが、
とにかく新しい「謎解き」が見たくて意気込んでいる人に謎を届けたい。
曲や絵を活かしたのも作りたいですが、如何せん門外漢のため頭の中だけに留まって熟れています。
でも僕はニコニコ動画を見て、VOCALOIDや歌ってみたに触れただけでも、やっぱり作曲とかもしてみたいと思います。
とはいえ、ここまでのポリシーはやはり物理ギミック。立体物、印刷する透け紙利用なんかもいいですよねぇ。
うまか棒とか、オーケストラとか、カップラーメンとかを使うのも面白そうです。
フェーン現象を起こしてラス謎が解けるとかいうのもいつか作ってみたいですね。
いやはや、長々と書き連ねてしまいましたね。読んで頂くありがとうございました。

 

【◆あ、先に出した2問の謎は解けましたか?他の記事も是非見てくださいね!】